それを早く先に言え(カウントダウン編) - 4/7

4日前
「シラッキカムイは『奇を衒うな』とおっしゃっています」
 占いの神と称される白狐の頭蓋骨を自分の頭から落とし、その結果をまじまじと眺めていたインカラマッが鯉登に向けて目を細めた。
「つまり……?」
「正攻法で行け、ということです」
 より明確な言葉を求めた鯉登にインカラマッは浮かべた笑みを強くする。
 インカラマッは鯉登の同僚である谷垣の妻だ。大きく膨らんだお腹を抱えて夫に弁当を届けに来た彼女は鯉登の顔を見るなりこう言ったのだ。
『鯉登ニシパ、何かお困りではないですか?』
 そうして、社食の一画でインカラマッが鯉登を見ることになった。彼女は腕のいい占い師でその実力は折り紙付きだ。
「正攻法……」
 インカラマッの言葉を噛みしめるように鯉登は繰り返す。
「ええ、素直な気持ちを伝えればそれでよろしいのです」
 微笑むインカラマッの目には何が見えているのか、鯉登にはわからなかった。

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