7日前
「はぁ? 来週?」
「いや、なんで知らないんだよって話なんだけど、こっちからしたらさ」
素っ頓狂な声を上げた鯉登に、宇佐美が呆れたように肩を竦めた。信じられない、と言うように鯉登は何度も目をしばたかせていたが、宇佐美からすれば信じられないのは鯉登の方だ。
――あれだけ、あれだけ、側にいて。
自分に置き換えて考えてみたら憤死するレベルである。
「まあ、仕事が手につくような心境じゃなくなってると思うけど、追加でこれもよろしく」
言いながら宇佐美は鯉登のマウスを使って、資料となるファイルを開いた。
鯉登の態度が尊大で、周りも寛大に受け入れてはいるが、彼の立場は今年度入社したばかりの新人である。
先輩である宇佐美たちの指示を受けて業務をこなしていかなければならない。
――相変わらず、ソツがないから面白くないんだけど。
それが宇佐美の鯉登に対する評価であった。
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