6日前
「いやさぁ、それはコイトチャンが悪いよ。今回はうさみんの反応が正しいと思うね。なぁ、杉元」
「全面的にお前が悪いだろうが。あ、すいませーん、生一つ追加で!」
つい昨日の宇佐美と鯉登のやり取りについて、ひとしきり話を聞いた白石がジョッキを片手に杉元に同意を求めると、ちょうどグラスの空いた杉元がさも当然と言わんばかりに断定した。鯉登への苦言と同時に次の注文も忘れない。
大学の同期だった三人は卒業後も定期的に集まって飲んでいる。他愛のない話をだらだらとするだけの集まりは、存外、いい息抜きになっているのだが、今回は少し様子が違っている。
鯉登はひたすらに難しい顔をしていた。周囲の反応に納得のいっていない子どものような表情の奥に、困惑や迷いも透けて見えて白石と杉元は鯉登にわからないように目配せをした。この男の、こういうところが放っておけない。
「まあ、こっからどうリカバリするかが男の見せ所だと思うぜ、オレは」
「まだ間に合うだろ。急いだ方がいいだろうけど」
二人の言葉にようやく鯉登の眉間の皺が消えた。
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